Forestock 一般社団法人フォレストック協会

尾瀬の豊かな自然を育む
水源の森

森林所在地

群馬県利根郡片品村

森林所有者

東京電力ホールディングス株式会社

認定対象面積

3,452.98ha

沿革

明治から大正にかけて電力の需要が急速に高まり、当時発電の中心であった水力発電所建設が我が国において大きな課題であり、1903年(明治36年)には尾瀬における水力発電計画が発表されていた中、1916年(大正5年)、当時の電力会社(利根発電)が尾瀬の豊富な水を発電に活用すべく、尾瀬の群馬県側の土地を取得し、1922年(大正11年)には関東水電が水利権を取得した。しかし、大規模な発電所開発には至らず、1951年東京電力株式会社設立時にそのまま東京電力株式会社に引き継がれることとなった。

1960年代になると尾瀬を訪れるハイカーが増え、木道や公衆トイレの整備されていない尾瀬の自然は荒廃し始めたため、尾瀬の自然を守るべく東京電力株式会社が自然保護に取り組むようになり、木道の整備のほか、アヤメ平の湿原回復作業などが行われてきた。

尾瀬は1934年(昭和9年)に誕生した日光国立公園の一部として、1953年以降は国立公園特別保護地区として守られてきた。1960年(昭和35年)に特別天然記念物、2005年(平成17年)11月にはラムサール条約の登録湿地となり、2007年(平成19年)8月には日光国立公園から独立するかたちで尾瀬国立公園となった。東京電力株式会社尾瀬戸倉山林は、尾瀬国立公園の約4割、特別保護地区の約7割を所有しており、林業活動のみならず自然保護活動にも力を注いでいる。

東京電力株式会社が所有する尾瀬戸倉山林は、水源かん養機能の発揮を目的として、同年設立された尾瀬林業観光株式会社、その後は尾瀬林業株式会社に引き継がれ、自然保護を始めとした管理が継続的になされてきた。2013年7月より、尾瀬林業株式会社は東電環境エンジニアリング株式会社、東電工業株式会社と経営統合により東京パワーテクノロジー株式会社となり、その事業は新会社の尾瀬林業事務所に引き継がれている。

森林・管理等の概要

東京電力株式会社が所有する管理区域16,000haのほとんどが尾瀬国立公園に指定され、森林法のみならず、自然公園法、文化財保護法、河川法等に準拠した森林等管理が行われており、伐採・造林対象となる森林に関しては、森林経営計画を樹立し、認定を受けている。

認定対象森林は片品村集落に近い過去の森林利用エリアを生産等経済的価値を求める森林域として区画した3,452.98haである。人工林や広葉樹・針葉樹林の二次林が主であり、そのうち1,300.37haがカラマツ人工林であり、毎年約300m3が伐採・搬出され、一部は地元製材所で製材し、尾瀬の木道に利用されている。木道の設置は東京電力株式会社、管理は東京パワーテクノロジー株式会社尾瀬林業事務所により行われている。残る2,152.61haは過去に薪炭等で利用された広葉樹・針葉樹二次林である。

国立公園に指定されている尾瀬には、毎年約30万人以上の入山者があり、入山者に対してガイド、資料、情報、宿泊・食事の提供などを行っている。東京パワーテクノロジー株式会社尾瀬林業事務所は山小屋をはじめとした施設等の経営も行っている。環境教育としてネイチャーツアーの企画、植林ボランティアの受け入れなども行っている。 植林で使用するブナの苗木は、尾瀬戸倉山林で採取した種から自家苗圃で生産し、ボランティアとともに養生を行っている。

CO2吸収量クレジットの算定量

・10,086t-CO2(4年度 算定)

・10,086t-CO2(3年度 確定)

・10,086t-CO2(2年度 確定)

・10,086t-CO2(初年度 確定)

森林構成

森林構成の概要

生物多様性の評価

カラマツ人工林は齢級構成に偏りがあるものの、広葉樹・針葉樹二次林のなかに散在し、二次林も成熟した豊かな森となって、景観的には周辺尾瀬地域の自然林と遜色なく、自然景観を重視した森林管理が実施され、景観の多様性が保たれている。渓流沿いは自然に成立する広葉樹渓畔林で形成されており、渓流の生物の生息及び景観を維持できるような緩衝帯が維持されている。下層も発達した渓畔林となっている。管理区域全域の生息動物の多様性に関しては、鳥類86種という報告がなされており、種数は極めて多い(「片品川上流の自然」独立行政法人水資源機構発行より)。また、自然を守る活動としては、当該国立公園に関わる尾瀬国立公園協議会や、その下部組織の各種分科会により監視され、自然を守る活動が活発に行われている。

低木から亜高木層まで発達して、階層構造をなすカラマツ林

手入れの遅れたカラマツ林で見られるつるの巻き上がり

林縁木を維持し、林分への大きな影響の軽減に努めている

ヒトリシズカ

キノコ類なども多く観察される

増加しているカラマツアカハラハバチの害

発達した渓畔林が創る川の風景

土壌、森林等の効果により降雨時も水は濁らない

林内では動物の糞等のフィールドサインが多数確認される

多様性を生む美しい針広混交林

シカ捕獲柵等のシカへの対策を講じている

シカ防護柵にかかった雌シカ

瀬戸倉山林から収穫した材を利用した木道(鳩待峠~尾瀬ケ原)

境界杭の設置

ササが繁茂する森林では植生が貧弱で、低木以上の階層がみられない

厚いA0層と黒ボク土A層による肥沃な土壌場所によりA層に軽石が混ざる

ブナ植林用苗畑

第1回ブナ植林ボランティアによる植栽地

高齢林では根張りがよい状態が観察された。

尾瀬ぷらり館内の東京電力自然学校、展示室

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